「古内、」 廊下側の一番後ろのあたしの席。 廊下の窓からひょいと顔を覗かせたのは、司馬その人だ。 「なに?わざわざG組までようこそ」 司馬はB組なのでまあまあな距離がある。 「電子辞書、貸せ」 「は?それが人に物頼む態度?」 ああ言えば、こう言う。 そんな可愛くない性格をあたしはずっと直せないでいる。