「そんな麻姫のこと、俺は「泰河!」」





廊下いっぱいに響き渡った声。


もちろんその声の主は、





「麻姫・・・」




そう呟いたのは、司馬だった。




「ねえ、泰河どうして?・・・あたしのそばにいてよ、お願いっ」


懇願する麻姫は、泣きすぎたのだろう、ボロボロだった。


あたしは言葉が出なかった。


ここで、二人のハッピーエンドを見届けろと?

嘘の代償がこんなに大きいなんて、知らなかったよ。