ずっと傍にいることが、当たり前だった。
俺の右側。
それが、アイツの場所。
アイツの左側。
それが、俺の場所。







「亮介っ待ってよ!」
「おっせーんだよ」

いつもの風景。
遅れる絵里に、玄関の前で待つ俺。

「女の子はいろいろあるの!」
「寝グセ直したり、ヨダレのアトとか洗ったり?」
「るっさい!!」

絵里のカバンが、俺に向かって勢い良く振り落とされる。
いい音をたてて俺の右肩に当たった。

「いってえ」

俺は笑いながら大袈裟に肩をさすった。
絵里はそれに満足そうに微笑む。
それと同時に、靴を履き終えた絵里が立ち上がる。

「行こっ亮介。お母さんいってきまぁす」
「いってきまーす」
「はーい、いってらしゃーい」

キッチンから聞こえる母さんの声。
俺がドアを閉める。
今日もいい天気だ。
眩し過ぎる程の日差しが心地いい。

「亮介、今日晩ご飯の当番だからね」
「あ。忘れてた」

うちは、両親が共働きだ。
帰りが遅いことも珍しくない。
だから、俺達2人で食事を分担している。

「あたし洋食がいいなー」
「了解」

俺より頭一個分程小さい絵里。
俺達は周りから、結構「似てない」と言われる。