「ははっ、良かった。ちょっと焦りました…。俺、一回生徒ケガさせたことあって」


そう言って、先生が笑いながら右手で頭をかく。



そんな先生が、ちょっとだけ幼く見えた。


でも、ケガさせたって…。




「…な、なんでですか?」


「え、いや。ちょっと…。あ、あの。これ貴方のだったりしますか?」





『え?』と私が言うと、先生が見た事のあるバッグを私に差し出した。




「あぁっ!これ!わ、私のです」



「あ、そうでしたか。良かった。もしかして、探しに来てました?」


「はいっ。ありがとうございました!本当に!」


「いいえ」



先生が優しく微笑む。




その度に、私の鼓動が速まっていく。






『キーンコーンカーンコーン』


先生に見惚れていると、学校中にチャイムが鳴り渡った。




「やばっ!」


「あっ、もうこんな時間ですか。ごめんなさい、ぶつかっちゃって」



え、何で先生が謝るの?

というか、先生謝りすぎじゃない?



「先生…そんなに謝らないでください…」