「葵!ごめん。バッグ下に置いてきた!先入ってて!!」


「えっ!まぢ?!…わかった。はよ来いよ!」


「うん!!」



やばい、もうチャイムなっちゃう。


急いでバッグ取りに行かなきゃっ。


またまた全力疾走で階段を降りる。




もう1階下に降りようと、階段でくるりと向きを変えたとき、強く何かにぶつかって派手に転んだ。



「きゃっ!!」



……あれ?痛くない…


目を開けると、そこにはあの森田先生がドアップに映っていて、片腕を摑んでいてくれた。


えぇっ!先生?!



「だ、大丈夫ですか?!ごめんな、俺もよそ見してて」


「あっ、え…っと、あ…のっ」



急の出来事に緊張して、上手く声が出ない。



すると、ゆっくり先生が私の腕を摑んで、体を起こしてくれた。



「す、すみません…」


「本当、ごめん。ケガとかないですか?」


「あっ、はい」




私、今先生と話してる…。

先生に出会って、初めて今ちゃんと話してる…。


すごい…。