駅前から5、6分歩くと閑静な住宅街の中に低層のデザイナーズマンションが見え、振り返った滝沢が目線で『あれだから』と伝えるとそのままエントランスに入っていった。



少し遅れて彩乃もエントランスにはいるとセキュリティのかかった自動ドアを開放して待っていてくれたので、小走りで傍を通り抜けた。



もう一枚、今度は指紋セキュリティのガラスドアを開けその奥にあるエレベーターに二人で乗り込んだ。



エレベーターは無言の二人を乗せ三階につくと、小さな声で「こっち」と滝沢が言って歩き出したので彩乃もまたついていく。



黒く重厚な玄関ドアを開けてくれ先をうながされた彩乃は「お邪魔致します」と広い玄関ホールに入った。



玄関や廊下は、シンプルで片付いておりホワイトを基調にしていた。


幅のある廊下は直ぐに右に折れていて、左右にいくつかドアがあり、突き当たりがリビングと思われた、そこをさっとあけて進みながら「そこのソファに座ってて」と滝沢が言い、彩乃は「はい、失礼しますね」とちょこんと座った。