琴音が、バケツを皐月の上に投げた。

「死ねばいいのに。」

琴音のハスキーな声が響く。

琴音達は笑いながらトイレを出た。

「キィーーー・・・」

皐月は、トイレのドアを開け鏡の前に立った。

「うっ・・・うっ・・・。」

「私・・・すごくみじめだ・・・・・・・・・。」

水で濡れた髪を触りながらぽつりと言った。下を向いていたら一番奥のトイレのドアが

開いた。

「さ・・・・さつきちゃん?」

ゆっくり後ろを向くと真奈がいた。

メガネをかけていて、いつも1人で本を読んでいる。

以前、琴音や皐月がイジメていた。

「な・・・・なに・・・?」

「いや・・・。かわいそうだな・・・・と思って・・・。」

「真奈?」

「や・・・イジメられている気持ち・・・よくわかるから。」

(ドクン!)

皐月は心臓が大きく動いた。

皐月はうつむき、唇を噛み締めた。

「さつき・・・ちゃん?」

異変に気付いたのか皐月の顔をのぞく。

真奈はギョッとした。

「さつきちゃん?」

「うっ・・・うっ・・・まな・・・ゴメンね・・・・本当にごめんね。」

涙を流しながら言う。