(倉田視点)


世界史の授業はとてもつまらない。

先生の話し方がねちねちした感じの話し方で聞くのすらも面倒くさい。

それでも、黒板に書かれない事を書いておくと授業点が上がるからラッキーだ。




「フランス軍を率いたナポレオンは一時期ヨーロッパの大半を・・・」

授業が長く感じられ、しだいに睡魔が襲ってくる。

窓からは若干強めの風が入ってくるためそれなりに気持ち良い。





ツンツンッ



うとうとしていると、よく話しかけて来てくれる後ろの席の吉田さんが袖を引っ張ってきた。

何の用かと後ろを向く。

その手にはノートを千切って作ったのか、端がボロボロの小さな紙。




”授業飽きた(笑)
ナポレオンってナポリタン的な・・・スパゲッティーのやつに似てね?”





そう書かれていた。



吉田さんはこういう変な事をたまに言い出す子だ。

なんだか見ていて面白い。






今は授業中。

俺は先生に聞こえないようになるべく小さく笑う。

吉田さんも嬉しそうに小さく笑った。



窓から入ってくる風はさっきより優しくなったように感じた。