行く当てもないレイレはとりあえず歩き回る事にした。

人々が行き交う中をただ一人歩いて行く。

「幸せを与えるのかぁ。」

レイレはポツリと呟やいた。

「ん~と・・・。」

当たりを見回すと一人の少年が地面を見ながらウロウロしていた。

「ありゃりゃ?変なのが居る。」

近づいてみると

「鍵がっ・・・。」

と、一生懸命に探し物をしていた。

「たかが鍵なのに。人間って馬鹿なんだね。」

レイレの声は少年は届かずに空へ消えた。



諦めずに探しこむ少年。

それを見つめる。

何が面白いのか、自分でも分からないが目が放せなかった。





どのくらい時間がたったであろう。



「あーもう!!!こーゆー馬鹿が一番嫌い!!!!!」


パチンッ


「あ!!!」

少年が声をあげる。

「あった!よかったぁー」


レイレは喜ぶ少年の前に立つ。

「貴方世界一馬鹿でしょ。」

やはりその声は届かずに空へ消えた。



少年はしゃがんだままの体制で上に顔を上げる。

丁度レイレの顔を見ているような位置になるが、レイレは人間には見えはしない。




「やっぱり、神様はいるんだな。

ありがとう。」


ドキッ

少年の笑顔に、

自分にお礼を言ったのでは無い事は分かってはいるが、良い気分になった。