木造の扉を開くとかすかだが軋む音がした。

「こんにちは〜」

恐る恐る中に入り辺りを見回す。

(中は結構綺麗なんだ…)

入ってすぐに置かれた下駄箱も廊下もすぐに見える階段も人の手で整えられていた。

思わず関心していると二階の部屋の扉が開く音がした。

「!!」

飛鳥は背筋を強ばらせた。

ゆっくり、しかし確実に近づいてくる足音はやがて階段を下り始めた。

思わず階段に釘づけになる視線。

「!!」

「あれ?今日、入寮してくるって子?」

現われたのは、綺麗なシルバー色の髪にそれと同じ色をした瞳を持つ美少年だった。

少年は読書の途中だったらしく片手に納まるくらいの文庫本を広げ、いかにもって感じの眼鏡をしていた。

「あ、えっと、初めまして!境飛鳥です!」

私は慌ててお辞儀をした。

少し離れた所からクスッと鼻で笑われたのが聞こえてゆっくり顔を上げた。

「そんな畏まらなくても良いんだよ?」

そう言うと少年は本を閉じ、かけていた眼鏡を外すと笑顔で自己紹介をしてくれた。

「相良千秋(サガラ チアキ)です。君と同じこの寮に住んでるから分からない事があったら何でも聞いてね」

無意識のうちに出る王子様スマイル。

飛鳥は真っ赤になりながらも再び頭を下げた。