「ジル、おめでとう」 今日は海の王の娘の誕生日。私の誕生日。 私は渡された花束を抱きしめた。 「ありがとう、姉様。とっても綺麗だわ」 「それで喜んじゃだめよ。人間界の花は、においがするの」 「におい・・?」 人魚の国を出たことがないジルにとって、聞いたことのない言葉だ。 「そう。においっていうのはね、そこに花がなくても花に囲まれているような気分になれるの」 「へぇ~、すてき!!」