「困ったことがあれば、いつでも相談においで。僕にとって君は、ジェリータと同じだから」


 そう言うシュルツの耳にはアルディスを呼ぶアルフリートの声も聞こえているのだろう。笑いながら、その姿を消そうとしていた。


「そっちの坊やは気にならないけれども、もう一人の駄々っ子は苦手だよ。また、様子をみにくるからね」


 その言葉に突っ掛かろうとしているカルロス。そんな彼をたしなめているアルディス。そして、微かに聞こえてくるアルフリートの声。それは、王国の平安を物語るものだったろう。そんな中、アルディスはカルロスと同じくらい大切な相手の姿をみつけていた。


「セシリア、一緒にいてくれるわよね?」


 アルディスの言葉にセシリアは笑っている。それは、これからも一緒にいるという、セシリアからの言葉にならない言葉だったのだろう。光は柔らかく、その場を照らし、包み込む。様々な思いを抱きながらもお互いが必要だとわかっている。だからこその表情。そして、祝福するかのように爽やかな風がソヨソヨと流れているのだった。




―Fin―