そう言ったカルロスはその場にあらわれた影をみつけて、少し嫌そうな顔をしていた。もっとも、相手はそんなことを気にしてはいない。流れるような銀髪が日の光に輝いている。


「お兄様」

「シュルツ」


 ジェリータの意識を身に受けたことで彼のことを『お兄様』と呼ぶアルディスの嬉しそうな声とカルロスのちょっと当惑したような声。それらを軽く流したシュルツはアルディスのそばに近寄ると、その髪を撫でているのだった。


「調子は大丈夫かい?」

「ええ。でも、本当にあれでよろしかったの?」


 シュルツの顔をジッとみているアルディス。その彼女を彼は愛しげにみつめている。


「そうしないといけなかった。やっと、ジェリータもゆっくりと休める」


 シュルツのその声にアルディスは微かにうなずいていた。それは、すべてを知りながら受け入れたアルディスの覚悟でもあるのだろう。