あまりにも唐突に感じられる返事に、セシリアは目を丸くしていた。しかし、ミスティリーナはそんな彼女の様子を気にするところなどない。彼女はセシリアが言った『一生不自由のない生活』という言葉に夢中になっているからだった。


「あんたが困ってるんだし、聖王女をあたしたちで捜すって面白いじゃない」


 その返事はあくまでも建前。本音は物質的なものであるのだが、それは黙っていた方がいいとミスティリーナは感じている。なんといっても、セシリアは生活の苦労などしていない貴族の令嬢である。自分と同じような考えでいるはずがない、というのがミスティリーナの出した結論だったのだ。しかし、セシリアはそんなこととは思ってもいない。彼女はミスティリーナが承諾してくれたことを無条件に喜んでいた。


「本当に承知してくれるの、ミスティリーナ」

「そうよ。あ、あたしのことはリーナでいいから。知り合いはみんな、そう呼ぶんだし」