宿についた二人の耳に、そんな声が飛び込んできている。その声の主であるウェリオはどこかのんびりとした様子で、ミスティリーナに封筒を手渡していた。


「忘れていたって……これが何だかわからなかったの?」


 ウェリオから渡されたものが、ギルドからの召喚状だということに気がついたミスティリーナの声は裏返っている。そんな彼女にウェリオは悪びれた様子を見せようとはしていなかった。


「忘れたとは言ったが、なくしたんじゃないんだからな。とにかく、それはお前に渡したからな」


 そう言うなり、ウェリオはさっさと奥に入っていっている。その後ろ姿を呆然とみおくったミスティリーナは、バツの悪そうな顔を浮かべることしかできない。


「召喚状、あった……ごめん」

「わかってくれたのならいいのよ。で、どうするつもり」