「召喚状なんてみてないわよ。嘘つかないで」

「嘘じゃないわ。ギルドがあなたに召喚状を出したっていうから、ずっと待っていたのよ。それなのに、いつまで待っても来ないじゃない」


 どうやらセシリアはギルドで一日中、ミスティリーナを待っていたのだろう。話している間にそのことを思い出してきたのか、彼女の声のトーンはだんだんと上がり、手厳しさも加わってきていた。


「ギルドもすっかり呆れていたわ。多分、ここにいるだろうって教えてもらったわけ。そうしたら、あなたって……」


 自分がここに来た時、ミスティリーナは店主を相手に話し込んでいたのだ。そのことを思い出した時、セシリアの怒りは頂点に達したのだろう。彼女はキッとミスティリーナを睨みつけていた。


「気楽にここの店主と話をいているじゃないの! 本当に何を考えているの。ギルドからの召喚状をなくしたっていうの」