「ギルドには顔を出していないのね」

「毎日、行く必要ないもの。それに、あたしは自分の仕事は自分の力で手に入れるの」

「そうなんだ」


 セシリアのその声には冷ややかな感じも含まれている。まるでバカにされたように感じたのだろう。ミスティリーナはますますカチンときたようだった。酒場の喧騒もあいまって、彼女の声のトーンはどんどんと上がってきている。


「あんたは何が言いたいのよ。あたしがギルドに顔を出してないのがあんたに関係あるっていうの?」

「そうね。大いにあるといえるわね」


 思わせぶりなセシリアの言葉。それにミスティリーナは少し興味をひかれたようだった。


「じゃあ、教えてもらおうじゃないの。あたしがギルドに顔を出すのとあんたとの関係」


 言葉こそたずねるようなものであるが、その口調は相変わらず棘があるもののように感じられる。それに気がついたセシリアは一瞬、ムッとしながらも仕方がないというような顔をしていた。