夢中になっていた話の腰をおられたことで不機嫌になっている相手。しかし、店主の方は声をかけてきたのがセシリアだということがわかったのだろう。彼は、すっかり驚いた表情を浮かべていた。


「お、おい。この方がどなたかわかっているのか? セシリア様だぞ」


 しかし、相手はおどおどした様子で声をかける店主の様子など気にもしていない。セシリアにミスティリーナと呼ばれた相手は、興味がないといった調子でセシリアをみている。


「セシリア? ああ、あの『ハートヴィルのじゃじゃ馬』ね」


 ミスティリーナのその言葉に、店主の顔色は一気に青ざめてしまっていた。


「何を言うんだ、ミスティリーナ。お前との話はもう終わりだからな。セシリア様、申し訳ありません。こいつはみてのとおりの奴でして、礼儀も何も知らないんです」