「アサコ。ケータイなってた。」

眠そうに
めんどくさそうに

勝手に
冷蔵庫からペットボトルを出して
飲んでいるナギサが

カウンターに放り投げられた携帯を指差した。


チカチカと
着信を知らせる光。



ちらりと携帯を確認をすると
「大輔」


胸がきゅっと
いたくなる。



でも、
逃げても始まらないし

「・・・はぁ。」


「アサコ?」

ナギサが覗き込むように
私に声をかけた。


「・・・別に。
 ちょっと電話してくるね。」


濡れた髪をタオルで拭きながら
携帯を持ってベッドルームへと逃げる。


そっと
扉を閉めてから
もう一度着信を見た。