向かうは、第二家庭科室。

家庭科部が去年廃部となり、
ほとんど使われなくなってしまった第二家庭科室は
みんな存在を忘れがちの穴場で、

こんな日にはよく利用している。



「ななりん待っててー!」



周りに人がいないのをいい事にそんな事を元気に言いながら扉を開けた事を、扉を開けた瞬間、

盛大に後悔した。


そう、穴場だった。

今まで何度も使ったけど一度もここで人と遭遇した事はなかったんだ。

だから人がいるはずないと思っていたし、待ちに待った昼休みで少しテンションが上がりすぎていたと言う事もある。


やってしまった、本当に最悪だ。


あまりのショックに鞄が腕からずり落ちて、
大きな音をたてて中身をばらまいてしまった。

あぁ、拾わなきゃ――



なんで、なんで。今日に限って知らない男子がこの部屋にいるんだ。