「うん、食べるぅ!」

「よし、じゃあおいで」

「はぁーい」

素直な良い返事に、自然に笑みが溢れる。


もっと気を楽にしていよう。

結婚式だって、この子たちの息抜きのついでに、遠くから眺められればそれでいいんだから……。


無邪気な子どもたちの笑顔にまた心を落ち着けながら、花音ちゃんと一緒にジェラート屋さんに入る。

「花音ちゃんはどれにする?」

「えっとねぇ……ストロベリー!」

「お兄ちゃんたちは何がいいかしらね?」

「お兄ちゃんはカンキツルイが好きだよー。拓ちゃんはねー……あ、りんご。りんごがいいかなぁ」

「じゃあ……レモンと林檎ね」

「うんっ。あとで一口わけてもらおうっと」

花音ちゃんとふたつずつジェラートのカップを持って店を出ると、拓斗くんと和音くんがキラキラした目をして一枚のCDを手にしていた。

高名なヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリスの『ラ・カンパネラ』。

ギトリスは荒々しくも荘厳な鐘を鳴らすヴァイオリニストだ。