「教会があるんですか?」
青い尖塔の鐘を見つめながら遠くへ行ってしまいそうだった意識が、背後からかけられた声に引き戻された。
はっとして振り返り、作り笑いを浮かべる。
「ええ」
悲壮感に浸っている場合ではない。ついてきてくれた和音くんには、ちゃんとスランプ脱出の糸口を掴ませてあげないといけないのだから。
そう思いながらも、すぐに視線は教会へ。
ここまで来たのに、どこかでもう帰りたいと願う自分もいた。
けれど、足は教会へと向かう。
見たいけれど、見たくない。
会いたいけれど、会いたくない。
でも……ここを乗り越えなければきっと、前には進めない。
平常心を装いつつ、どこか上の空で緩やかな煉瓦敷きの坂道を歩く。青い尖塔と十字架に吸い寄せられるように。
そこへ。
「お兄ちゃん、あれ、あれー」
花音ちゃんのかわいらしい声が、すっと飛び込んできた。
青い尖塔の鐘を見つめながら遠くへ行ってしまいそうだった意識が、背後からかけられた声に引き戻された。
はっとして振り返り、作り笑いを浮かべる。
「ええ」
悲壮感に浸っている場合ではない。ついてきてくれた和音くんには、ちゃんとスランプ脱出の糸口を掴ませてあげないといけないのだから。
そう思いながらも、すぐに視線は教会へ。
ここまで来たのに、どこかでもう帰りたいと願う自分もいた。
けれど、足は教会へと向かう。
見たいけれど、見たくない。
会いたいけれど、会いたくない。
でも……ここを乗り越えなければきっと、前には進めない。
平常心を装いつつ、どこか上の空で緩やかな煉瓦敷きの坂道を歩く。青い尖塔と十字架に吸い寄せられるように。
そこへ。
「お兄ちゃん、あれ、あれー」
花音ちゃんのかわいらしい声が、すっと飛び込んできた。