電車からバスに乗り換えて、ゆるやかな坂道を登っていくと見えてくる欧風の街並み。
この辺りでは有名な観光地で、私も何度か訪れたことがある。
勇人さんと一緒に。
バスを降りて、市街地よりも湿気の少ない爽やかな風に吹かれながら見上げた青い尖塔。
そこに吊り下げられている大きな鐘を見て、自分の心臓を打ち鳴らされた。
──来てしまった。
そう思いながら、ふらふらと歩き出す。
あそこに、勇人さんがいる……。
『結婚式をするなら、こういうところがいいなぁ』
鐘が盛大に鳴らされる教会の階段の下で、しあわせそうに微笑みながら下りてくる新郎新婦を見ながら、夢見心地で呟いていた少し前の私。
『確かに、こんなふうに大勢の人に祝福されるのも悪くないね』
『でしょう? いつかは……ここで』
『うん、いつかは……ね』
そんな会話を交わしたあの日の思い出も、夏の強い日差しの中に揺らめいて、溶けていきそう……。
この辺りでは有名な観光地で、私も何度か訪れたことがある。
勇人さんと一緒に。
バスを降りて、市街地よりも湿気の少ない爽やかな風に吹かれながら見上げた青い尖塔。
そこに吊り下げられている大きな鐘を見て、自分の心臓を打ち鳴らされた。
──来てしまった。
そう思いながら、ふらふらと歩き出す。
あそこに、勇人さんがいる……。
『結婚式をするなら、こういうところがいいなぁ』
鐘が盛大に鳴らされる教会の階段の下で、しあわせそうに微笑みながら下りてくる新郎新婦を見ながら、夢見心地で呟いていた少し前の私。
『確かに、こんなふうに大勢の人に祝福されるのも悪くないね』
『でしょう? いつかは……ここで』
『うん、いつかは……ね』
そんな会話を交わしたあの日の思い出も、夏の強い日差しの中に揺らめいて、溶けていきそう……。