久々に頭痛の激しい朝。

最悪の気分でベッドから起き上がり、床に足をつけると、カラカラカラと転がっていくビール缶の音が響いた。


──ああ、またやってしまった。


嫌なことがあるといつも、お酒に頼ってしまう。

飲んでいる間はやけに楽しくなって、重いものを全部笑い飛ばせたから。

でも……。

どんなに嘘の笑いの中に溺れていても、見る夢は同じ。

幸せだと笑う虚像の世界は剥がれ落ち、ぽつぽつと冷たい雨の降る、哀しいショパンの音に支配される。


カラカラと転がっていく缶を眺めていると、虚しさに襲われて膝から崩れ落ちそうになってしまうのだけれど。

なんとか心を奮い立て、顔を洗いにサニタリールームへ向かった。


「……レポート、出さなきゃ」

夏休み、もぎ取らなきゃ。

……あの子たちのために。