そうして微笑ましいホームビデオに心あたたかくなって終わってしまった夜が明けて。
悩みながらも結局答えは出ずに、3回目のレッスンを迎えた。
花音ちゃんには楽しく弾いてもらうことを第一に、拓斗くんには更に滑らかな音を出してもらえるように指導、そして和音くんには……。
「……んん?」
一通り演奏してもらった私は思わず首を傾げた。
“駄目”になってる。
どうして?
「どこか悪いところがあったら、ご指摘ください」
和音くんは静かな声でそう言った。
悪いところ──技術的には変わっていない。相変わらず譜面に書かれた作曲者の意図をきちんと音に乗せている。
スピッカート(弓を跳ねさせる奏法)なんて、嫉妬しそうなほど美しいのに。
でも……。
なんだろう。
うまく説明出来ないけれど、これは“駄目”だ。
「ええ……ごめんなさい、もう一度、最初から」
説明も出来ないのに『駄目だ』なんて言えない。和音くんにはもう一度通して弾いて貰うことにする。
彼は素直に頷いて、目を閉じながら弾き始めた。
悩みながらも結局答えは出ずに、3回目のレッスンを迎えた。
花音ちゃんには楽しく弾いてもらうことを第一に、拓斗くんには更に滑らかな音を出してもらえるように指導、そして和音くんには……。
「……んん?」
一通り演奏してもらった私は思わず首を傾げた。
“駄目”になってる。
どうして?
「どこか悪いところがあったら、ご指摘ください」
和音くんは静かな声でそう言った。
悪いところ──技術的には変わっていない。相変わらず譜面に書かれた作曲者の意図をきちんと音に乗せている。
スピッカート(弓を跳ねさせる奏法)なんて、嫉妬しそうなほど美しいのに。
でも……。
なんだろう。
うまく説明出来ないけれど、これは“駄目”だ。
「ええ……ごめんなさい、もう一度、最初から」
説明も出来ないのに『駄目だ』なんて言えない。和音くんにはもう一度通して弾いて貰うことにする。
彼は素直に頷いて、目を閉じながら弾き始めた。