あまりにもグイグイ迫られるので、和音くんが芝生の上にひっくり返って、その上から更に襲い掛かられて、笑いながら「たすけて~!」という声が上がった。


私はくすくすと笑いながらそれを見ている。

今でも「お兄ちゃん、お兄ちゃん」の花音ちゃんと、「兄さん、兄さん」の拓斗くん。

これを今やっても違和感ないかも。

なんて思って更に笑う。


画面の向こうで、和音くんを真ん中に3人で手を繋いで歩いている様は本当に心が温かくなる幸せな光景。

「いいなぁ……」

兄弟のいない私にとって、それはまさに理想の兄弟像だった。


更に、ヴァイオリンを演奏する様子を撮影した橘奏一郎氏の、

「いいぞっ、かわいいぞっ、かっこいいぞっ、さすが僕の子どもたち! ブラボオォォウウウウッ!」

──という声と。

「うるさいわよ奏一郎さん、演奏中は黙って」

という、律花さんの冷たい声のやり取りにも、なんだかほっとさせられて。

思わず声に出して笑ってしまった。

親が子どもを見守る、あたたかいホームビデオ。

「いいなぁ……」

私は意識せずに、何度もそう呟いていた。