終わらない……終わるわけがない……。

私はひとり、半泣きでレポートを書き続けた。

でも柚貴くんからはお弁当を貰えたので、ちょっと幸せな気分で家に帰る。



「よし」

おいしいお弁当を食べた後、腕まくりをしてテーブルに向かう。

でも、もうレポートを書くのに嫌気が差していたので、代わりに『ラ・カンパネラ』の楽譜を広げる。

iPodのイヤホンを耳につけ、集めた様々なヴァイオリニストたちの演奏を延々と流してみるのだけれど……。

『鐘を鳴らしたい』

そう言う和音くんの言葉に当てはまる演奏家はいなかった。

律花さんの演奏が一番近いのではないかと思うけれど……。律花さんは言っていた。

『私のコピーを作りたいわけではないの』、と。

子は親の影響を受けやすい。

基礎となる部分から教えたのでは、まるっきりコピーを作るようなものだ、と、成長に合わせて指導者を変えてきたのだそうだ。

その中のひとりに私が選ばれたのは光栄だ。

でも……。

プレッシャーも、大きい。