「拓斗くんもアクション好きなの？」

「はい。チョット・リーが好きなんです。彼の映画は大体観に行ってます」

「そうなの？　私も好きなのよ。ＤＶＤも全部集めてて」

「え、そうなんですか？」

拓斗くんは驚きに目を丸くする。

そうしてにこぉっと、愛らしい笑みを浮かべた。

「カッコイイですよね！　僕の憧れなんです。あんまり大きくないのに、あんなに動けて。僕もあんな風に強くなりたいなぁって思うんですけど……空手とか、指を怪我するといけないから、出来なくて……」

「ああ、そうよね……」

そういえば、拓斗くんはスポーツが好きだって律花さんが言っていたっけ。

和音くんに憧れているから、今はヴァイオリンの方に比重を置いているみたいだけれど。

それにしても、大金持ちのお坊ちゃまでこんなにかわいらしいのに、強い人に憧れたりするところは普通の男の子なのね……。


和音くんも花音ちゃんもアクション映画は観ないそうで、感想を言い合えるのが楽しかったらしい拓斗くんは、チョット・リーのお話で私に馴染んでくれたようだ。