頭がガンガンする。

その痛みに顔を顰めながら目を開くと、薄暗い部屋の天井が見えた。

「痛い……」

額に当てようとした手のひらに、目尻から流れていた涙の粒が貼りつく。

その感触に、自嘲気味な笑みが漏れた。


また、だ。

また、夢を見て泣いていたのだ。

あれからもう何日経ったのだろう。

彼から告げられた衝撃的な事実から。


『子どもが出来た』

だからその女性(ひと)と結婚する。


なんの冗談かと思う私は、どこまでもおめでたい人間だった。


だって仕方ない。

悪いのは彼じゃない。

別れを告げたのは、私。

彼を苦しめたのは、私の方。

別れてからも「好きだ」と言ってくれる彼の言葉に甘え、一緒にいることを許されない関係に苦悩する彼に甘え。

いつかはよりを戻せるかもしれないなんて。いつかは私を迎えに来てくれるかもしれないなんて。

勝手に期待して、願いを込めて。


その結果が、これ──。