それから一週間。

ヴァイオリンレッスン講師を、もう辞めてしまおうかと悩む日々が続いた。

一条隆明との今後についてを考えると頭の痛くなる毎日で、精神的にも落ち着いているとは言い難い。

そんなときに。

誰かに縋りたいときに、優しくしてくれる人が現れたら。

その人が愛しいと感じる人であれば。

……今の私がそれを拒み続けることは難しいということは、自分でも分かっていた。


和音くんのためにも、私のためにも、辞めるべきだと思う。

それでも橘家でのレッスンは私にとっては大切な時間で、それを失うことの恐怖も大きくて、なかなか律花さんへ電話することも出来なかった。


『先生』と『生徒』の関係をこのまま続けていくことが、どれほど辛いだろうとは思っても。

完全に絶ち切ることが出来ない、弱い、私……。