ぎゅっと、手を握り締めた。

あの人は、どうして“そんなこと”が出来るのだろう。

私は……。

私は、大切な人であればあるほど、こんな混沌とした“自由”になんか巻き込みたくない。

偽りの幸せなんか。

与えたくない。


「……好きになっちゃ、駄目」


自分への戒めの言葉が、思わず口をついて出る。


真っ直ぐに、純粋に想いを伝えてくれる貴方だからこそ。

いつまでも綺麗な世界に、いて欲しかった。