「こんなものでは、“あいこ”にはなりませんよ」

耳元にそう囁かれて、その意味を考える間もなく、頬を彼の唇が掠めていった。

「か、和音くんっ……」

逃れようとしても、しっかりと腰を捕まえられ、後頭部に添えられた手に阻まれてしまった。

抵抗する間もなく、触れる唇。

これはまるで、あのときと同じ……。

クリスマスの日と同じく辿る彼の唇に、再び翻弄される私は……受け入れられない事実に嫌でも気づかされた。


駄目だと。

これ以上踏み込んでは駄目だと、頭では分かっているのに。

彼の想いを受け入れることは永遠にないと、伝えなくてはならないのに。


──それでも、好きだと。


想いを返したい自分に、気づかされる。