私の言葉に、拓斗くんは黒い目でじいっと私を見上げ、大きく頷いた。

「はいっ!」

ああ、こちらも素直でいい返事。

癒しだなぁ……。


愛らしい2人にじぃんと胸を熱くする。この一週間ずっと気持ちが沈んでいたから、余計に2人の笑顔が嬉しい。

この癒しがあれば当分頑張れそうな気がする……そう思いながら拓斗くんと入れ替わるようにやってきた和音くんを見て。

どくり、と。

心臓が揺れ動いた。


会いたかった。

とてもとても、彼に会いたかった。

でも、いざ目の前にしたら、クリスマスの日に触れ合った冷たい唇の感触を思い出してしまって、目を合わせることも恥ずかしかった。

でも和音くんは酔っていて覚えていないはずだから、意識したりしたら変に思われてしまう。

ここは冷静に。

何もなかったように、いつも通りに。

「……じゃあ、和音くんも始めましょうか」

そう、平静を装って微笑んでみたけれど。

心臓は煩いくらいに鳴り響いていた。