スケジュールを自分の手帳に写して、実家に行く日や事務所に挨拶に行く日を考え、目処がついたところでキッチンへ立った。

水を飲もうと冷蔵庫を空けて。

「……あ」

そこに入っていた白い箱に目がいく。

昨日和音くんにもらったとても綺麗な白いケーキだ。そういえば帰ってから食べようと思って、忘れていた……。


私はその箱を取り出して、カウンターにケーキを出した。

スツールに座り、白い台の上に乗っている淡いピンクの花をフォークに乗せ、口に入れる。

「……おいしい」

優しい甘さのクリームに、自然と顔が綻ぶ。


ホテルでの夕食は、舌がどうにかなってしまったのかと思うくらいおいしくなかったのに。

和音くんのケーキは、凄く凄く、おいしかった。

スポンジにフォークを入れ、大きな塊を次から次へと口の中へ放り込む。