……こんなかわいい子をいじめるなんて、一体どんな子たちなのかしら。

ヴァイオリンは弾けるし、顔も姿もかわいいし。律花さんによると成績も良いらしい花音ちゃん。

僻みね。

僻みだわ、きっと。


負けないでねっ、と花音ちゃんの頭を撫でて、次に拓斗くんに演奏してもらう。


「宜しくお願いします」

と、行儀良く頭を下げる拓斗くんは、花音ちゃんと同じく少し緊張気味。かわいらしい顔を少し赤くしてヴァイオリンを構えた。

でも演奏が始まったら別人になった。

さっきまでかわいらしかったのに、すっかり曲に入り込んでしまって、堂々としたものだ。

ああ、集中力の高い子なのね、と頭の中にメモ。

音が気持ちいいくらいに真っ直ぐで、力強い。譜面の音符を忠実に追っていく優等生の演奏。

特に問題は見つからない。このままコンクールの曲を詰めていくだけで良さそう。