「うん、まあそうだと思ったけど。変なこと言って悪かったよ」

アキちゃんは短い髪をくしゃりとやりながら苦笑する。そうして立ち上がった。

「そろそろユズが帰ってくるから、行くわ」

「うん」

バッグを持って玄関へ向かう彼女を見送り、

「今日は本当にありがとう」

そう、礼を言ったら。

アキちゃんは私を見つめながらまた少し考えるような素振りをした後、こう言った。

「でも……アンタがなんとも思ってなくても、向こうもそうだとは限らないからね。気をつけな」

「……え?」

「アンタ、襲われても文句言えない状況を作り出してんだからね。そこんとこ、よーく解っておきなさいよ」

「ええ?」

「一応忠告はしたからね。何かあったら連絡しなー」

冗談なのか本気なのか、悪戯っぽく笑ったアキちゃんは軽く手を振って外に出て行った。

私をそれをしばらく呆然としながら眺めていた。