「ブッシュ・ド・ノエルを作りたいです、アキ先生!」

ふんっ、と鼻を鳴らしてそう言うと、アキちゃんは眉を潜めた。

「作れんの、アンタ……」

「やれば出来るのよっ!」

「ハイハイ、じゃあ、やってみますか」

と、2人でキッチンに入り、クリスマスケーキ作成に挑んだわけなのだけれども。



「ちょっと、卵の殻が入ってるでしょ!」

「ぎゃあああっ、泡立てんのにどれだけ飛ばすのよ! 量が半分になったでしょー!」 

「オーブンの設定温度も間違ってるじゃない! 190度だっつっただろこの野郎っ!」



……と。

予想通りではあるけれど、激しく怒鳴られながらケーキを焼いた。

結果、黒い鉄板のような黒こげスポンジが出来上がった。

「……アンタよく橘のお坊ちゃんを手料理でもてなす気になったわね」

アキちゃんは呆れたように溜息をついた。