最初の印象が肝心──。

私はなるべく落ち着いた笑みを浮かべ、ソファから立ち上がった。

「初めまして、一番上のお兄さんね? 律花さんの……お母様のご紹介で今度からヴァイオリンを教えることになりました、斎賀水琴です。宜しくお願いしますね」

そう言う私の目を、同じ高さからじっと見つめた彼は。

「初めまして、橘和音です。母から話は聞いています。レッスンは土曜日からでしたね。宜しくお願いします」

そう言って、ふっ、と笑みを漏らした。


──あ。

笑えば、歳相応のかわいらしい顔になるのね。


そんな印象を持ちながら、軽く握手を交わした。