和音くんにはもうずっと助けてもらっている。

勇人さんの結婚式のときも、彼との別れを決意するときも、酔って醜態を晒したときも、料理教室でも。

こんなダメダメなお姉さんに付き合わせてしまっているのに、いつも涼しい笑顔でそっと隣に立っていてくれる彼に、お礼をしないと。

お礼も兼ねたプレゼントは……そう、ヴァイオリンの演奏を目の前でするというのはどうかしら。和音くんなら下手なプレゼントより、この方が喜んでくれそう。

それなら私の部屋で……手料理なんかを。

今まで教えてもらったことの集大成を見せたら喜んでくれるかしら。

拓斗くんや花音ちゃんも一緒に呼んで、一緒にワイワイやって……。

……いや、駄目だ。あの2人に見せられるような完成された料理はきっと作れない。

ここはやっぱり和音くんだけをこっそり誘おう。

そうしてご馳走をたくさん作って、ビックリしてもらって。

一緒にヴァイオリンを弾けたら、きっと楽しい。


そんな風に和音くんを喜ばせようと思って色々考えていたら、だんだんと胸が弾んできた。