それから遅れてやってきた若い2人の執事さんも加わり、賑やかになる。

どうやら、執事さんたちは今日からこの家で働き始めるようで、今日は初顔合わせの日だったようだ。

それを知り、忙しいときに訪ねてしまった、出直してこようと申し出たのだけれども。

「せっかくいらっしゃったのですから、主の和音様からもご挨拶を」

と、西坂さんやメイド長さんにぐいぐい背中を押されて客間に案内されてしまった。


豪華絢爛な調度品に囲まれた客間で、メイドさんに給仕をされながらしばらく落ち着かない時を過ごしていると。

やっとドアがノックされた。

長男は中学二年生。拓斗くんとはひとつ違い。

だから、拓斗くんに似た愛らしい男の子が入ってくるものだとばかり思っていたのだけれど。

入ってきたのは、やけに大人びた少年だった。

さらさらの黒髪に切れ長の瞳をした、深い森のように静かな印象の少年。


そうか、拓斗くんや花音ちゃんは律花さんに似ているけれど。

この子は奏一郎さん似なんだ。