「は? そりゃ、アンタが店の前で吐いたからだけど? おかげさまであたしの服は凄まじいことになって、それでユズに迎えに来てもらって、アンタのことはたまたま居た橘和音にお願いしたんだけど。なにか、文句でも?」
次の日、大学の練習室でたまたまアキちゃんを見かけて、土曜日の夜の説明を求めたら。
「ううああぁあぁぁぁー……」
予想以上の醜態に土の中に埋もれたくなった。
「それで、美少年に優しく起こされた感想は?」
ニヤニヤしながら言うアキちゃんを涙目で見上げ、ふるふると首を振った。
「今すぐ一昨日に戻して……立ち直れない……」
「自業自得でしょ。もうアンタとは飲まないからね」
「あううぅぅー」
床に座り込んで項垂れると、ピアノの前に座っていた柚貴くんに、クスリと笑われた。
「丁度いいじゃないか。アキも俺も、水琴ちゃんの体調が心配だったんだよ。これを機会に酒はやめて、ヴァイオリンに集中すればいいよ」