「こんにちは」

かわいらしい２人に微笑みかけ、まずは挨拶。

「私、今度ヴァイオリンを教えることになりました、斎賀水琴です……」

……そう、話している間に。

かわいらしい２人の目が恐怖に慄いた。


な、なにかしら。

私そんなに怖い顔をしている？

そう思ったら。


「初めまして、拓斗様、花音様。本日より和音様専属執事として配属されました、西坂と申します。以後お見知りおきを」

背後の西坂さんがそう挨拶をした。

「え？」

初めまして？

どういうことなのか理解しないまま、かわいらしい２人が悲鳴を上げるのを聞いた。



その後、２人の悲鳴を聞きつけた使用人らしき人たちがわらわらと集まってきて大騒ぎになったのだけれども。

メイド長だという割烹着を来たパンチパーマの女性が、

「こやつは私の夫！　今日から和音様にお仕えする者です！」

と、おたまを持ちながら怒鳴ったら、見事にその場は収まった。

大柄なフランケンシュタイン顔の西坂さんは、小さなメイド長さんの隣で頬を染めて顔を歪めた。

……照れているようだ。