──きれい。

そう思って見上げた蒼穹から、高らかな鐘の音が鳴り響いた──。




「っう……」

酷い痛みを全身に感じて呻き声を上げる。

頭がガンガンする。

身体中がミシミシいってる。

なに、これ……。


痛みに顔を顰めていると、やけにおいしそうな匂いが鼻腔を刺激した。

なんだか懐かしい匂い。

あたたかいお味噌汁の匂いだ。

あれ……私、どこにいるの?


自分のいる場所を確かめようと身を起こしたら、頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。

「あ……い、痛……」

頭も痛いけれど、気分も最悪だ。気持ち悪い。

ああ、二日酔いか……とぼんやりと理解していると。

「大丈夫ですか?」

誰かに声をかけられた。

頭を押さえながら声を振り返ると、さらりとした黒髪の、やけに整った顔の美少年がすぐ傍に立っていた。


──あれ、和音くんだ。

何故ここに和音くんが?