「アキちゃんも、花音ちゃんたちといっしょ~。頭、なでなでしまーす」

「は? アンタ、レッスンであの天才兄弟たちの頭撫でてんの?」

「だから~、今日はみんな私の心配、してくれてねぇ~? うれしくてなでなでしたのよ~? ありがと~って」

「……あの妹ちゃんはいいけどさぁ……思春期のお兄ちゃんたちは嫌がるんじゃないの?」

「そんなことないわっ。拓斗くんも和音くんもおとなしーく撫でさせてくれたものっ」

「……そりゃ単にビックリしただけだわ、きっと」

「違うわよっ。みんなイイコだものっ。そんなイイコたちに心配かけちゃったのぉー」

「アンタ、レッスンしに行ってるんだからさぁ……。もっとしっかりしなさいよ」

「わかってるわよぅ~……あんなちっちゃいこに心配かけて……わたしって、ほんと、だめ人間なんですぅ~……おとーさんの気持ちも、おかーさんの気持ちもわからないで、わがままやってさぁ~!」

「ああ、分かったから泣くな。てか、飲むな。水琴……オイ、聞いてんのかコノヤロー!」



……そんな会話をしながら延々と飲み続けたらしいのだけれど。

まったく記憶がなかった。