「まあ、一条隆明がいいヤツならいいんだよ。ちゃんとフォローしてくれるような男であることを願うよ」

「そうね」

そうであることを願いながら、やってきたカシスオレンジをぐいっと一気飲みする。

こうやって飲んで、親しい友達と笑いあって楽しくやっているうちに、嫌なことは全部終わってくれたらいいのに……。


両親のために結婚を決意したとは言っても、不安が消えたわけではない。

それを一時でもかき消したい私は、いつもよりハイペースで飲み続けた。

「ちょっと水琴、もう少しペース落としなって。気持ちは分かるけどさ……最近飲んでばっかりじゃない。ほどほどにして少しは身体を休めないと」

「だって今日は楽しくやりたいんだもの……楽しく過ごせる時間は、もう、あんまりないかもしれないんだよ?」

「まあ、そうだけどさぁ……」

いつもだったらアキちゃんも強く止めたのだろうけれど。

私の事情を全部知っている彼女は、今日だけは……と思ってくれたのかもしれない。

……それが後の悲劇に繋がろうとは、思いもしなかったけれど。