勇人さんも私と同じ?

私との繋がりを絶ちたくないから、あんなポストカードを送ってきたのだろうか。



次の演奏は拓斗くんの番だった。

落ち着いた雰囲気でステージに登場した拓斗くんは、凛々しい表情でヴァイイオリンを構え、穏やかな『春』を奏でた。

幸福感に満ちた明るい曲想。

それは過去の私のようで、ちくりと胸に痛みをもたらした。


私は勇人さんがいることで、確かに幸福に満たされていた。

けれどもう、たとえ勇人さんが私と同じように繋がることを望んでいたとしても、昔と同じように『春』のような幸福感に満たされることはない。


──そっか。

そうなんだ。

もう私の中でも、終わってるんだ……。


強く残る依存心は、なかなか頑固で取り除かれはしないのだけれど。

胸の中に残る想いでは、もう、花は咲かない。


「……凄いわこの子。この粒揃いの中で光ってるよ」

拓斗くんの演奏を聴いたアキちゃんが、そう感想を漏らす。

「そうでしょう。努力家な子だもの」

教え子を褒められて、私も笑みを作る。