「それは十分文句言っていいと思うけど? 電話して怒鳴ってやれば? あんたには平気でも私には平気じゃねぇんだよ、バカヤローって」

「そ、それは……」

「なんのために結婚式にまで乗り込んだわけ? ああーホントにアンタって子は!」

苛々と声を荒げるアキちゃんに、小さくなる私。

しばらく沈黙が続いて、コンクールの演奏が始まった。

その間は私もアキちゃんも何も語らず、終了後にまた話し出した。

「今日中に先輩に電話して、二度と関わりたくありません! って言いな。分かった?」

「……う、ん」

「何、その歯切れの悪い返事は。嫌なの?」

「……嫌……分からない。嫌、なのかも」

「なんで嫌なの」

「……勇人さんとの繋がりが切れるのは、嫌、かも……」

そうか。

口に出して言ってみれば、自分の良く分からない気持ちにも整理がついた。

「勇人さんのことは好き。たぶん、今も。でもそれ以上に……一番辛いときに支えてくれた人だから……一番の私の理解者だから……その人を失うのが、怖い、んだと思う」