騒々しいコンクール初日となったけれど、今の私にはこれで丁度いいくらいだった。
ひとりだと雨の世界に引きずり込まれて、ずるずると沈み込んでいくから。
──ああ、どうして私って、いつまでもこうなんだろう。
自嘲の念に苛まれながら迎えた翌日のE部門。
和音くんと拓斗くんの番だ。
「二人ともいつも通りに弾けば大丈夫よ」
せめて笑顔で送り出してあげたくて、精一杯の笑みを浮かべて和音くんと拓斗くんを見送る。
それから橘夫妻と花音ちゃんと一緒にホールへと向かう途中で。
背の高いベリーショートの髪の女性の姿を見つけた。
「アキちゃん?」
声をかけると、アキちゃんは人混みの中から顔を出し、笑顔で軽く手を上げた。
「あら、水琴ちゃんのお友達?」
私とアキちゃんを見比べながら、律花さんにそう声をかけられる。
「はい、大学の同期で……チェロをやっている城田アキさんです」
「まあ、チェロを」
律花さんは屈託のない笑みを浮かべて、アキちゃんに手を差し伸べた。
ひとりだと雨の世界に引きずり込まれて、ずるずると沈み込んでいくから。
──ああ、どうして私って、いつまでもこうなんだろう。
自嘲の念に苛まれながら迎えた翌日のE部門。
和音くんと拓斗くんの番だ。
「二人ともいつも通りに弾けば大丈夫よ」
せめて笑顔で送り出してあげたくて、精一杯の笑みを浮かべて和音くんと拓斗くんを見送る。
それから橘夫妻と花音ちゃんと一緒にホールへと向かう途中で。
背の高いベリーショートの髪の女性の姿を見つけた。
「アキちゃん?」
声をかけると、アキちゃんは人混みの中から顔を出し、笑顔で軽く手を上げた。
「あら、水琴ちゃんのお友達?」
私とアキちゃんを見比べながら、律花さんにそう声をかけられる。
「はい、大学の同期で……チェロをやっている城田アキさんです」
「まあ、チェロを」
律花さんは屈託のない笑みを浮かべて、アキちゃんに手を差し伸べた。