バイト……バイト。

 今まで、アルバイトの経験がないわたしに、何ができるだろう?

 仕事を探しに、街へ出た。

 見つけようと思えば案外。

 従業員募集、とか。

 スタッフ募集、とかって言うポスターをあちらこちらに貼ってある。

 だけども。

 そのポスターの三分の二くらいは『高校生不可』で。

 残りの三分の一も、未成年は、親の承諾書が無いと雇ってくれない事がわかった。

 しかも。

 高校生は、時給八百円以下ばかりで。

 百万円貯まるのが、何時になるか見当もつかない。

 最初に、ウリは絶対駄目、と釘を刺された意味が、判った気がした。

 紫音は。

 わたしを……お金で縛っておく……つもりなんだ。

 長く、イジメるつもりで、そんなこと言ったんだ。

 やっぱり、紫音はわたしが嫌いなんだ……って。

 当たり前か。

 わたし……

 何度も助けて貰ったのに、お礼一つ言わないヤなコだ。

 挙げ句の果てに、キス一つで逃げて来て………

 ……嫌われちゃったよ。

 たぶん。

 それでもわたしの方は。

 紫音のコトが好きかもしれない。

 ネオンが輝き出した街の夜空を見上げて、涙がまた滲んできた。


「……へこむなぁ」

 わたしが、思わず呟いた時。

 声をかけて来たヒトがいた。