朝起きたら。
目の前に、大好きなヒトがいた、なんて。
すごい、幸せ。
「……起きたか」
ひどく優しい声に、目を開けば、そこに紫音がいた。
白い病室の壁に、もたれかかるように立つ黒服の紫音は。
少し見ないうちに。
いろんな意味で、鋭さを増しているようだった。
「……紫音……
痩せた……?」
「ああ。
少しは、な……」
紫音は、寝ているわたしの顔をそっと、覗き込んで言った。
「……でも。
こんなダイエットは、もう……イヤだ」
口調は軽くても。
その真剣な目に、わたしは、素直に謝った。
「ごめん……」
「ベッドに寝ている守屋を最初に見たときは。
正直、震えた……
……勘弁してくれ……
もう、オレは。
女が、病院のベッドで苦しそうにして居る姿を見たくないんだ……」
「うん……
そうだね……
ごめん、ね……?
それで……
紫音の方のカラダの具合は、どうなの?」
「オレは、大丈夫だ」
言って紫音は、低く笑った。